今年は厳しい猛暑に日本全体が悩まされ、我々ブルーベリー栽培者もかなり苦戦を強いられました。

当園では3月、新たに借りた畑に100本のブルーベリーを植えました。
ハイブッシュ73本、ラビットアイ27本です。

この記事ではこの新設圃場について書いていきます。

コンセプトは”ピートモスを使わない”ということで代わりに菌根菌資材を使用し植え付けをしました。植え付けしたのが3月。いくつか動画にしていますのでご興味ある方は覗いてみてください。

その後、予期せぬ猛暑で沢山の苗が枯死し生育不良に陥りました。水源のない圃場のため、軽トラに100リットルタンクを積んで灌水する応急処置も3回やりましたが、3月の定植ではこの猛暑を乗り越えるほどの生長(根の伸長)が出来なかったように思います。

ブルーベリー栽培の”新”キーワード

あくまで地植え主体の私の考えですが、これからのブルーベリー栽培で意識すべきキーワードは
「耐乾性」「耐暑性」「秋植え」です。

ここ数年、排水性、通気性というキーワードが散々叫ばれてきましたが、今後は今年の暑さを忘れずに、むしろもっと厳しくなる(=暑くなる)という意識を持って、植え方や管理方法、品種選定をしていかなければならないと痛感しました。

もちろんそれぞれの環境によって深刻さは違います。遮光できる出来ない、水源があるない、などで変わってきますが、特に私のように副業でブルーベリーをやっている場合は、猛暑に対してどれだけ知恵を絞っていけるかが大切です。(専業の方と違って手を掛けられる時間が限られているので)

春植えの場合、3月の心地よい気候のうちは根も伸びますが、6月あたりに根の伸長は止まると言われています。たった数ヶ月しか心地良く生長できない環境では、まだ小さな苗達には夏超えは難しいと言わざると得ません。体力不足、食料不足のまま戦場へ向かう過酷な状況であった言えます。

今回植え付けには菌根菌資材(耐乾性向上)を全ての株に撒いていますが、おそらくそもそも無理ゲー感があったのでしょう。予想としては、夏を一回乗り越えられれば菌根菌の作用も株自体の耐乾性、耐暑性も強くなり、翌年から元気に対応してくるのでは考えています。

そんなことから今後は「秋植え」が主流になってくるのではないかと思います。春植えでは足りない時間を、秋植えで補い、翌年の夏に向けて少しでも助走をつける。この時間稼ぎがないと、根の伸長の時間が不十分になり、昨今の猛暑に耐えられない、という結果になる(可能性がある)と思います。

ブルーベリー栽培では、夏を如何に負担なく乗り越えられるかが重要なのです。ここで躓くと生育不良になり復活までに無駄な時間を費やし収量減退となります。

その当時の様子も少し動画にまとめていますのでこちらも良かったらご覧ください。

枯死率

さて、今回の新設圃場ですが、枯死率結果は以下の通りになりました。

・ラビットアイ>0% = 27本中0本死亡
・ハイブッシュ>22% = 73本中16本死亡

ラビットアイは全て耐えました。8月中葉焼けは起こしたものの、10月の今見ると回復しています。
前提としてここの畑は一切肥料は撒いておりません。しかしながらラビットアイは全て葉焼けを克服し濃いめの緑をキープしています。良い傾向です。

一方ハイブッシュは…ガタガタです。なんとか生き延びた苗、半壊した苗、枯死した苗など様々です。

枯れた品種を挙げると、ブルークロップ、ハンナズチョイス、デューク、コリンズ、プリマドンナ、フリッカー、ネルソン、レガシー、ボーナス、接木エチョータ、接木スパルタンが枯れました。接木は置いておいても、まぁどれも納得いく品種ですね。
生育に定評のあるブリジッタは、全体的に大丈夫でした。レガシーも4/3は生き残り、状態も悪くありません。ブリジッタ、レガシーに加えてチャンドラー、ダロウも大丈夫でした。この辺は耐暑性があり強い印象です。もちろん元々の苗の個体差もありますので、あくまでもうちの場合は、ということになります。ご理解ください。

5号サイズから地植えで仕上げるだけでも大変なのに、今回大ダメージを受けたので、今後の生育がかなりビハインドになりそうですね。

唯一の救い願いは、ブルーベリー用G2でエイリコイド菌根菌を共生させているので、苗自体が自然と調和して自身で治癒、調整してくれる能力をつけてくれれば持ち直せるか、、、どうか、、、といったところです。

どうしても5号鉢の植え付け初年度は楽ではありません。

がここから精鋭の菌根菌と共に挽回してくれることを願っています。

無施肥ですので、私がやってあげられることは、木材チップを補充してあげることくらいでしょうか。ここの畑は長い目で見守っていこうと思います。